派遣業・職業紹介業の資産要件とは?基準資産額と不足時の対応策
派遣業や有料職業紹介業を継続して行うためには、定期的に「免許更新」が必要です。
その更新時に大きな壁となるのが資産要件です。
資産要件とは、会社が十分な財務基盤を持っているかどうかを判断する基準のことで、基準を満たさなければ更新が認められません。
この記事では「資産要件とは何か」「基準資産額はいくら必要か」「足りない場合の対応策」まで、分かりやすく解説します。
資産要件とは?なぜ必要なのか
派遣業や職業紹介業は、人材を扱う事業のため、トラブルが発生した際に事業者が責任を果たせる体力を持っているかが重視されます。
その判断材料となるのが「資産要件」です。
経営の安定性を確認する条件
労働者や取引先を守るために、一定の財務的な余力を求められます。
免許更新審査で重視される理由
資産要件を満たしていないと、事業継続にリスクがあると判断され、更新が拒否される可能性があります。
基準資産額はいくら必要?
では、具体的にどれくらいの資産が必要なのでしょうか。
派遣業の場合
派遣業では、自己資本が2,000万円以上であることが一般的な基準とされています。
赤字であっても、自己資本がプラスで基準を上回っていれば更新は可能です。
有料職業紹介業の場合
職業紹介業は派遣業に比べて規模が小さいことが多く、基準はやや緩やかです。
自己資本500万円以上 が目安とされることが一般的です。
業種ごとの違いと注意点
派遣業と職業紹介業を兼業している会社の場合、それぞれの基準を満たす必要があります。
また、基準額は法改正や行政通達によって変動する可能性があるため、最新の情報を確認することが重要です。
自己資本の確認方法
資産要件を満たしているかどうかは、会社の決算書で確認できます。
貸借対照表の「純資産の部」を見る
更新申請時には直近の決算書を提出します。貸借対照表の「純資産の部」がプラスであり、かつ基準資産額を超えているかがポイントです。
赤字でも更新できるケース
「損益計算書で赤字だから更新できないのでは?」と誤解されがちですが、赤字決算でも自己資本が基準を上回っていれば更新可能です。
数期連続赤字のリスク
ただし、赤字が続き累積損失が増えると、自己資本がマイナスに転じて資産要件を満たせなくなる危険があります。
この場合は早めの対策が必要です。
資産要件を満たせない場合の対応策
「基準資産額を満たしていない」と分かった場合、いくつかの対応策があります。
増資による自己資本の回復
株主からの出資を受けて資本金を増やす方法です。増資によって自己資本を補強し、基準を上回るように調整します。
借入による資金補填と注意点
金融機関からの借入で一時的に資産を増やすことも可能です。ただし借入は負債として扱われるため、返済計画を立てなければ逆効果となる場合があります。
公認会計士によるAUP(合意された手続き)証明
会計士にAUP業務を依頼することで、資産要件を満たしているかどうかを第三者が証明できます。
「数値は基準を満たしているのに信用してもらえない」といった場面で有効です。
更新申請と資産要件の関係
資産要件を満たしているかどうかは、更新申請の可否に直結します。
- 申請開始時期
- 更新は有効期限の約3か月前から可能です。
- 準備は半年前から
- 決算書の状況を確認し、資産要件が不足していないかを少なくとも半年前にチェックするのが安心です。
- 緊急対応も可能だがリスク大
- 期限直前で不足が判明した場合でも、増資や借入で対応できる可能性はありますが、書類作成に時間がかかるためリスクが高くなります。
よくある質問(FAQ)
- Q. 資産要件を満たしていないと必ず更新できませんか?
- 基本的には更新できません。ただし増資や借入で改善できる場合があります。
- Q. 赤字でも更新できる場合はありますか?
- 自己資本が基準を上回っていれば赤字決算でも更新可能です。
- Q. 資産要件を満たすための準備期間はどれくらい必要ですか?
- 少なくとも半年前には決算状況を確認し、必要なら増資などの準備を始めるのが望ましいです。
- Q. AUPと監査証明はどう違いますか?
- AUPは依頼者と会計士が合意した手続を実施し、その結果を報告するもの。監査証明よりも柔軟ですが、限定的な証明です。
資産要件のまとめ
資産要件は「免許更新ができるかどうか」を決める大きなハードルです。
基準資産額を満たしているかを早めに確認し、不足している場合は増資や借入などの対策を取る必要があります。
もし対応に不安がある場合は、専門家である公認会計士に相談するのが最も確実です。