派遣事業更新の差し戻し対応マニュアル|原因・再申請の流れ・不許可を避ける実務ポイント
派遣事業の更新申請では、すべての書類を揃えて提出しても労働局から「差し戻し」や「補正依頼」を受けることがあります。
差し戻しは必ずしも「不許可」ではありませんが、対応が遅れると申請期限切れ=事業継続不可につながるリスクがあります。
この記事では、派遣事業更新における差し戻しの典型的な原因、再申請までの流れ、そして実務で不許可を避けるための具体的な対応策を解説します。
関連:更新手続きの全体像は 派遣事業更新の流れと手続き全体像 をご覧ください。
差し戻しとは?不許可との違い
- 差し戻し(補正依頼)
提出書類に不足や不備がある場合に、追完のチャンスが与えられるもの。期限内に補正できれば更新は認められます。 - 不許可
要件そのものを満たしていない、または是正不十分と判断された場合。差し戻しに対応できなかった場合も不許可となります。
つまり、差し戻しは改善の余地があるサインといえます。
差し戻しの主な原因
1. 書類の不備・不足
- 派遣元管理台帳の未提出
- 契約書や就業条件明示書の抜け落ち
- 残高証明・決算書類の不足
2. 資産要件に関する証拠不足
- 現金・預金が基準未達と判断される
- 中間決算・残高証明の添付がない
- AUP報告書での補足が不十分
関連:派遣事業更新に必要な資産要件
関連:資産要件不足時の対応とAUP活用
3. 責任者要件の未達
- 派遣元責任者が不在
- 講習未受講
- 常勤性の証明が不十分
4. 是正勧告・法令違反への対応不足
- 是正報告が形式的で、再発防止策が弱い
- 勧告事項と改善記録の対応が曖昧
- 教育・監査など「仕組み化」の裏付けが不足
差し戻しを受けたときの対応ステップ
- 指摘事項を全量リスト化
- 差し戻し文書の条項・不足資料を一覧化
- 誤記・形式不備・要件未達を色分けすると整理しやすい
- 補正期限を逆算スケジュール化
- 1週間以内/2週間以内など期限が示されるケースが多い
- 余裕を持って「社内締切」を先に設定
- 証拠資料を揃える
- 契約・帳簿・台帳・出勤簿・残高証明・講習受講証など
- 提出物ごとに「不足→補足資料」で対応表を作成
- 改善報告を添付する
- 「是正済み」「再発防止策あり」を示す改善報告を同封
- 証拠化(規程改訂・教育記録・監査結果)を加えると効果的
- 労働局との事前連絡
- 提出前に補正内容を説明し、受理見込みを確認
- 不安点は事前相談で先回りする
再申請の流れ
- 補正書類・改善報告を添付して再提出
- 労働局で確認 → 不備なければ受理
- 必要に応じて追加資料の求めが来る
- 期限内にすべてクリアすれば更新認可へ
不許可を避けるためのポイント
- 6か月前からの準備
資産・帳簿・責任者・体制を総点検 - 内部監査の実施
月次でサンプル監査を行い、不備を早期発見 - 改善報告の質を高める
「事実→原因→是正→再発防止」を証拠付きで示す - 差し戻しを想定した余裕あるスケジュール
提出直前に差し戻されても期限内に補正できる体制を作る
差し戻しは改善のチャンス
派遣事業更新の差し戻しは、決して不許可の決定ではありません。
期限内に適切な補正と証拠資料の提出ができれば、更新認可は十分可能です。
- 指摘事項のリスト化
- 補正期限の逆算管理
- 証拠資料+改善報告の提出
- 労働局との事前相談
この流れを徹底すれば、不許可リスクを大きく下げられます。