派遣事業更新に必要な教育訓練体制ガイド|研修計画・記録保存・不許可回避の実務ポイント
派遣事業の更新審査では、資産要件や責任者体制、帳簿整備と並んで「教育訓練体制」も重要なチェック項目です。
派遣元は労働者のキャリア形成支援を行う責務を負っており、その実施状況が更新時に審査されます。
教育訓練は単なる形式ではなく、派遣労働者のキャリア形成と企業の信頼性を支える要素です。計画が不十分、実施が不十分、記録が不十分という理由で更新不許可や差し戻しとなる事例も少なくありません。
この記事では、派遣事業更新を確実に通過するために必要な教育訓練体制の整え方を、実務の流れに沿って解説します。
教育訓練が更新合否を左右する理由
労働者派遣法では、派遣元事業主に「派遣労働者のキャリア形成支援」を行う義務が定められています。
この義務を果たす手段が「教育訓練の計画と実施」であり、その体制が整っていない場合は、更新審査で大きなマイナス評価となります。
実際、派遣事業更新の不許可事例と回避方法でも、教育訓練の未実施や記録不足は典型的な不許可要因として挙げられています。
教育訓練体制の基本要件
派遣事業更新における教育訓練体制の基本は以下の通りです。
- 年1回以上、計画的に教育訓練を実施すること
- 派遣元責任者が中心となって研修計画を策定すること
- 派遣労働者のキャリア段階に応じた内容を提供すること
- 研修の実施記録を整備し、保存すること
これらを怠ると、労働局からの是正勧告につながり、派遣事業更新と労働局対応ガイドで説明したように改善報告を求められる可能性があります。
研修計画の作成ポイント
教育訓練計画を作成する際のポイントは以下の通りです。
- OJT(職場内訓練)とOFF-JT(職場外訓練)のバランス
- 派遣先との連携(派遣先の業務に即した内容の確認)
- 文書化と周知(派遣労働者に分かりやすく伝える)
- 定期的な見直し(労働市場の変化や法改正に対応)
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教育訓練の実施・管理
計画を作っただけでは不十分です。更新審査では「計画どおり実施されたか」が厳しく確認されます。
- 受講者リスト:誰が受講したかを明確にする
- 研修記録:日時、内容、講師、受講者を記録
- 未受講者の対応:短期契約者や中途入社者への補完策
- 実施証拠:配布資料や受講レポートを保存
これらは派遣事業更新に必要な帳簿整備体制強化ガイドとも関連し、帳簿の一部として保存されます。
記録保存と審査対応
教育訓練の記録は3年間以上の保存が必要とされるのが一般的です。
電子保存も認められますが、改ざん防止や検索性が確保されていることが前提です。
審査の場面では、労働局から「研修記録の提示」を求められることがあります。その際に即時に提示できる体制を整えておくと、審査がスムーズに進みます。
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不許可リスク事例と回避策
教育訓練に関する不許可リスクの典型例は以下です。
- 研修計画はあるが実施していない
- 研修は実施したが記録がない
- 一部労働者が未受講
これらを回避するには、以下の対策が有効です。
- 研修日程を年度初めに確定させる
- 出席簿・記録簿を定型化する
- 短期契約者に対する補完教育を実施する
- 定期的に責任者がチェックする
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教育訓練体制を整えて更新審査へ
教育訓練は派遣事業の社会的責任であり、更新審査でも大きな比重を占めます。
- 計画的に教育訓練を実施する
- 記録を保存し、すぐ提示できる体制をつくる
- 未受講者対策を怠らない
- 責任者が主導してチェックを行う
これらを徹底すれば、教育訓練に関する不許可リスクを避け、安心して更新審査に臨めます。