派遣業許可と定款の関係とは?
労働者派遣事業を始めるには厚生労働大臣の許可が必要です。
その際に提出する書類のひとつが会社の定款です。
定款は会社の「基本ルール」を示す最重要書類であり、そこに派遣業を行うことが明記されていなければ許可が下りません。
この記事では、派遣業許可申請における定款の役割や注意点を詳しく解説します。
定款とは?
定款とは会社設立時に作成する「会社の憲法」ともいえる書類です。
会社の目的・商号・本店所在地・機関構成・公告方法などが定められています。
このうち事業目的は派遣業許可に直接関わります。
派遣業許可に必要な定款の記載
派遣業許可を取得するには、定款に以下のような文言が明記されている必要があります。
- 労働者派遣事業
- 人材派遣事業
- 人材サービス関連業務
これらが明記されていない場合、労働局は「派遣業を目的としていない会社」と判断し、許可を出しません。
定款に不備がある場合のリスク
定款に派遣業に関する記載がない、あるいは不十分な場合、次のようなリスクがあります。
- 許可申請が受理されない: 目的に派遣業が記載されていないと不備扱い
- 事業開始が遅れる: 定款変更登記に時間がかかり、申請が遅延
- 社会的信用への影響: 目的の記載が曖昧だと金融機関や取引先からの信用も低下する可能性
そのため、事前に定款を確認・整備しておくことが重要です。
定款変更が必要な場合
既存の会社が新たに派遣業を始める場合、多くのケースで定款変更が必要になります。
定款変更の流れは以下の通りです。
- 株主総会を開催し、事業目的に「労働者派遣事業」を追加する議案を決議
- 議事録を作成
- 変更後の定款を作成
- 法務局で定款変更登記を行う
- 登記簿謄本を取得して許可申請書に添付
この手続きに1〜2か月かかることもあるため、早めの対応が必要です。
派遣業許可申請における定款の提出書類
許可申請時に提出が必要な定款関連書類は次の通りです。
- 定款の写し
- 変更登記後の登記事項証明書
- 株主総会議事録(変更があった場合)
これらを正しく添付しないと、申請が差し戻されます。
よくある不備と対策
定款関連で多い不備は以下です。
- 目的に「労働者派遣事業」が記載されていない
- 文言が曖昧(例:「人材事業」だけでは不可)
- 変更登記が未了
- 古い定款を提出している
正しい文言を明記し、登記簿と一致していることが重要です。
定款確認のタイミング
派遣業許可を申請する際は、申請書を準備する前に定款を必ず確認しましょう。
もし記載が不足している場合は、すぐに定款変更の準備を始めることをおすすめします。
これにより、申請の遅延を防げます。
関連ページ
派遣業許可取得を目指す方は、以下のページも参考にしてください。
まとめ:定款は派遣業許可申請の出発点
派遣業許可を取得するには、会社の定款に「労働者派遣事業」が明記されていることが必須です。
記載が不十分だと申請できず、事業開始が大きく遅れる可能性があります。
定款確認 → 必要に応じて変更 → 登記完了 → 申請という流れを押さえ、スムーズに派遣業許可を取得しましょう。