派遣事業のライセンス取得にかかるコストとは?
労働者派遣事業を始めるためには、厚生労働大臣の許可(ライセンス)が必要です。
この許可を得るには登録免許税をはじめ、資産要件を満たすための資金準備や事務所整備、責任者講習など多様なコストが発生します。
本記事では、新規取得と更新それぞれのコストを整理し、内訳や隠れた費用、費用を抑える工夫まで詳しく解説します。
必須となる登録免許税
派遣事業ライセンス取得で必ずかかるのが登録免許税です。
- 新規許可:15万円
- 更新許可:9万円
これは国に納める税金であり、避けることはできません。申請書提出時に収入印紙または電子納付で支払います。
資産要件に対応するための資金
派遣事業ライセンスを取得するには基準資産額2,000万円以上が必要で、自己資本がマイナス(債務超過)では認められません。
そのため、資産要件を満たすための準備資金が必要になる場合があります。
- 増資に伴う登記手数料や専門家報酬
- 借入時の利息や保証料
- 決算修正のための会計士・税理士費用
詳しい算定方法は標準資産額の計算や一時的資産要件で解説しています。
事務所整備にかかる費用
派遣事業では、事務所の独立性や面積基準など厳格な条件が求められます。
- 独立した区画確保のための改装費
- 20㎡以上の事務所賃料や敷金
- 面談室設置のための家具・パーテーション費用
- 写真資料の準備費
これらは地域や条件により数十万円〜数百万円規模となる場合があります。
詳細は派遣事業の許可要件も確認してください。
派遣元責任者講習や体制整備の費用
派遣事業には派遣元責任者の専任配置が必要で、そのための講習受講料(約1万円前後)が発生します。
さらに、体制整備に関わる費用も必要です。
- 教育研修プログラムの整備費
- キャリアアップ研修実施費用
- 個人情報保護のためのセキュリティシステム導入費
更新時には、これらの体制が継続しているかも確認されます。
専門家に依頼する場合のコスト
書類作成や申請手続を自社で完結するのが難しい場合、専門家に依頼するケースもあります。
- 行政書士や社労士への依頼費用:10万〜30万円程度
- 会計士や税理士による財務調整費用
- AUPによる第三者確認報告書作成費
専門家を利用すれば不備による再提出リスクを減らせる一方で、コストが上乗せされます。
更新時にかかるコスト
更新申請は新規より安く済みますが、次の費用がかかります。
- 登録免許税:9万円
- 最新の決算書類作成費用
- 資産要件を満たすための追加資金
- 責任者交代時の講習受講費
詳しくは派遣事業の更新費用も参考にしてください。
隠れたコストに注意
見落としがちな「隠れコスト」として、次のようなものがあります。
- 申請書類の印刷・製本費
- 労働局とのやり取りにかかる人件費
- 帳簿不備を改善するための外注費
特に帳簿管理に不備がある場合は、更新前に大規模な整理を行う必要があり、予想外のコストが発生することがあります。
関連ページ:派遣事業更新に必要な帳簿
コストを抑える工夫
派遣事業ライセンス取得のコストは完全にゼロにはできませんが、次の工夫で負担を軽減できます。
- 決算を早めに確認し、資産要件を事前に調整する
- 責任者講習は余裕をもって受講する
- 事務所移転や更新のタイミングを合わせてコストを最適化する
- 専門家依頼は必要部分だけに絞る
計画的な準備で余計な出費を防ぐことが可能です。
よくある質問(FAQ)
- Q. 派遣事業ライセンス取得の最低コストはいくらですか?
- A. 登録免許税15万円が最低限ですが、資産要件対応や事務所整備を含めると数百万円規模になることもあります。
- Q. 更新費用は新規より少なくて済みますか?
- A. はい。登録免許税は9万円で済みますが、財務改善や責任者講習など追加費用が発生する場合があります。
- Q. 専門家に依頼しないと申請は難しいですか?
- A. 自社でも可能ですが、書類不備が多いため専門家に依頼するとスムーズです。
関連ページ
派遣事業ライセンス取得のコストをより正確に理解するには以下の記事もおすすめです。
まとめ:派遣事業ライセンス取得のコストは「免許税+準備資金」
派遣事業のライセンス取得には、最低限の登録免許税に加え、資産要件対応や事務所整備、体制構築のコストが必要です。
更新では免許税が下がるものの、運営実態が見られるため、帳簿や体制の整備に追加費用がかかる可能性もあります。
直前対応では費用がかさむため、半年以上前から準備を始め、計画的にコストをコントロールすることが成功のカギです。