派遣事業更新に必要な経理管理体制ガイド|資産要件・財務健全性・帳簿管理の実務ポイント
派遣事業の許可更新では、資産要件や責任者体制と並んで、経理管理体制が大きな審査ポイントとなります。
資産要件を満たしていても帳簿が不備であれば「適正に事業が運営されていない」と判断され、不許可につながるケースがあります。
本記事では、派遣事業更新に必要な経理管理体制を整えるために押さえておくべき実務ポイントを、資産要件・財務健全性・帳簿管理の観点から徹底解説します。
経理管理体制が更新で問われる理由
派遣事業は、派遣労働者の賃金を確実に支払える財務基盤を持つことが求められます。経理体制が不十分だと、以下のような問題が発生します。
- 資産要件を満たしているか確認できない
- 帳簿不備により実態が不明確になる
- 労働者への賃金支払い能力が疑われる
こうした状態は、労働局に「健全性を欠く」と判断され、更新不許可や改善命令につながります。
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資産要件と財務健全性の確認
資産要件の基本
- 一般派遣:資産額2,000万円以上、現預金1,500万円以上
- 特定派遣(旧制度からの移行含む):資産要件が異なる場合があるため確認が必要
財務健全性のチェック
- 純資産がマイナスの場合は原則更新不可
- 赤字決算でも、資産要件を上回っていれば更新可能な場合あり
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資産不足の改善方法
- 増資による資本金強化
- 借入による預金残高確保
- 親会社からの資金援助
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経理帳簿の整備ポイント
更新審査では「帳簿が整備されているか」が厳しく確認されます。
必要な帳簿
- 総勘定元帳・仕訳帳
- 現金出納帳・預金出納帳
- 売掛金・買掛金管理台帳
- 派遣料金と労務費の対応資料
整備のコツ
- 会計ソフトで月次決算を行う
- 派遣料金の入金と給与支払いを突合できる体制をつくる
- 内部監査と連動して帳簿の正確性を担保する
証拠資料の管理
経理体制の信頼性を示すために、証拠資料の保存も重要です。
- 最新決算書・税務申告書控え
- 銀行の残高証明書
- 月次試算表
- 給与支払記録と派遣契約書の突合資料
これらを提出資料に添付することで、更新審査において「資産要件を確実に満たしている」ことを証明できます。
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更新審査での確認ポイント
労働局は以下の観点で経理体制をチェックします。
- 最新決算で資産要件を満たしているか
- 経理帳簿が整備されているか
- 証拠資料が適切に保存されているか
- 資産不足が懸念される場合に改善計画を提示しているか
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不許可リスク事例と回避策
不許可リスク事例
- 帳簿が未整備で実態が不明
- 資産要件を満たさず改善計画も示していない
- 粉飾を疑われる不自然な会計処理
回避策
- 会計士・税理士による月次監査を導入
- 増資や借入で資産不足を早めに解消
- 帳簿と証拠資料を整備し、提出時に矛盾がないようにする
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体制強化チェックリスト
- 月次決算を実施しているか
- 資産要件不足を事前に把握できているか
- 経理帳簿を定期的に監査しているか
- 銀行残高証明書や試算表を揃えているか
- 派遣料金と人件費の突合が可能か
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経理管理体制を整えて安心の更新へ
派遣事業の更新審査では、資産要件と経理管理体制が「事業の健全性」を測る基準となります。
- 資産要件を満たしているか
- 帳簿と証拠資料が整備されているか
- 改善計画を適切に提示できるか
これらを徹底することで、更新不許可のリスクを回避し、安心して事業を継続することができます。