派遣事業更新に必要な是正勧告対応体制ガイド|改善報告・再発防止策と更新審査対応の実務ポイント
派遣事業を運営していると、労働局から調査や行政指導を受けることがあります。
その結果、是正勧告を受けた場合、改善報告や再発防止策を適切に行わなければ、派遣事業更新の審査で「不適正運営」とみなされ、更新不許可につながるリスクがあります。
本記事では、派遣事業更新における是正勧告対応体制の重要性、改善報告の書き方、再発防止策の実務、更新審査で確認されるポイント、不許可リスクと回避方法を体系的に解説します。
是正勧告対応が更新で問われる理由
是正勧告とは、労働局が派遣事業者の運営において法令違反や不備を確認した際に出される行政指導です。
これはあくまで「改善を求める」段階であり、行政処分(事業停止や許可取消し)とは異なります。
しかし、是正勧告に対応しなかったり、改善内容が不十分であったりすると、更新審査の際に「適正な運営を継続できない」と判断され、不許可となる場合があります。
👉 関連:派遣事業更新の不許可事例と回避方法
是正勧告の基本的な流れ
- 調査・ヒアリング
労働局が派遣元事業所を訪問し、書類確認や担当者ヒアリングを実施。 - 指摘事項の通知
法令違反や運営上の不備が確認されると、是正指摘事項が書面で通知される。 - 是正勧告書の交付
改善すべき内容が具体的に記された是正勧告書が交付される。 - 改善報告の提出
通常1か月程度の期限内に、改善内容を記した「改善報告書」を労働局へ提出。
👉 関連:派遣事業更新スケジュール管理
改善報告の実務ポイント
改善報告は「形式的に提出すればよい」というものではありません。
労働局が求めているのは 再発防止につながる具体的な改善 です。
記載すべき内容
- 指摘事項ごとの改善内容
- 改善実施日と責任者
- 改善の結果と効果
- 添付資料(証拠)
添付資料の例
- 就業規則・服務規律の改訂版
- 教育訓練記録や研修資料
- 帳簿や雇用契約書の修正版
- 内部監査チェックリスト
再発防止策の構築
改善だけではなく、再発防止の仕組みを構築しているかどうかも審査対象です。
- マニュアル改訂と従業員研修
是正内容をマニュアルに反映し、全従業員へ周知。 - 定期的な内部監査
改善後の状態を維持できているかを定期チェック。 - 責任者のフォローアップ
派遣元責任者が改善の実効性を確認し、報告する仕組みを作る。
👉 関連:派遣事業更新に必要な責任者体制強化ガイド
更新審査での確認ポイント
労働局は更新審査の際、次の点を重点的に確認します。
- 是正勧告書と改善報告書の控えを提示できるか
- 改善内容が実務に反映されているか
- 再発防止策が運用され、記録が残っているか
👉 関連:派遣事業更新の実務フロー完全ガイド
不許可リスク事例と回避策
不許可リスク事例
- 改善報告を提出しなかった
- 報告が期限に遅れた
- 内容が抽象的で効果が確認できない
- 同じ指摘を繰り返し受けている
回避策
- 是正勧告を受けたら即時に社内会議を実施
- 改善内容を「いつ」「誰が」「どう直したか」を明確に記録
- 再発防止策を具体的に策定し、チェック体制を作る
体制強化チェックリスト
- 是正勧告を受けたら即時に対応会議を開催しているか
- 改善報告を期限内に提出しているか
- 再発防止策を記録に残し、労働局に提示できるか
- 同じ問題を繰り返さない体制を作っているか
👉 関連:派遣事業更新チェックリスト総まとめ
是正勧告対応を徹底して安心の更新へ
派遣事業更新において、是正勧告は避けられない場面もあります。
しかし、対応の仕方次第で不許可リスクを大きく減らすことが可能です。
- 改善報告を期限内に提出する
- 再発防止策を具体的に策定・運用する
- 記録を残し審査時に提示できるようにする
これらを徹底すれば、更新審査での信頼性が高まり、安心して派遣事業を継続できます。