派遣事業更新スケジュール管理|6か月前からの逆算計画と実務ポイント
労働者派遣事業の更新は、単なる「延長」ではなく新規申請と同水準の審査です。
申請書類や証拠資料の不備があれば差し戻しや不許可につながり、期限を過ぎれば事業継続ができなくなります。
このため、更新準備は少なくとも6か月前から逆算して進めることが不可欠です。
本記事では、派遣事業更新のスケジュールを段階的に整理し、実務で注意すべきポイントを解説します。
関連:全体像は 派遣事業更新の流れと手続き全体像 を参照してください。
なぜ6か月前から準備が必要なのか?
- 資産要件は一朝一夕で改善できない
直前の決算や残高証明で基準未達なら、不許可リスクが高まります。増資や資金調達は時間がかかるため、6か月以上前に確認が必要です。 - 責任者講習は予約が埋まりやすい
派遣元責任者の要件を満たさなければ更新できません。講習の受講枠は限られるため、早期に計画を立てる必要があります。 - 是正勧告対応には実績期間が必要
是正報告は「改善後の運用実績」が伴って初めて評価されます。改善記録を積むには数か月単位の期間が必要です。
更新スケジュールの逆算プラン(6か月前〜提出)
6か月前:総点検フェーズ
- 資産要件の確認(基準資産額2,000万円、現金預金1,500万円など)
- 帳簿・台帳の整備状況を点検
- 派遣元責任者の常勤性・講習受講状況を確認
- 過去の是正勧告・指摘事項を棚卸し
4か月前:整備フェーズ
- 直近決算をもとに財務資料を整理
- 教育訓練計画と実績を更新
- 安全衛生・苦情処理体制を点検
- 内部監査を実施し、不備を早期発見
3か月前:改善フェーズ
- 指摘事項への是正措置を実施
- 改善報告書を作成し、証拠資料を添付
- 再発防止策を社内体制に組み込み
- 契約・台帳・勤怠・賃金の整合性を再点検
2か月前:準備フェーズ
- 申請書のドラフト作成
- 労働局への事前相談で不足資料を確認
- 残高証明・登記事項証明など「発行日が近い資料」を依頼
- 代替責任者の体制確認(欠員時対策)
1か月前:最終点検フェーズ
- 提出書類一式を完成
- 押印・署名・原本添付の有無を確認
- 提出控えをPDF化・保管
- 社内ダブルチェックで漏れを防止
提出〜審査
- 労働局が形式審査→内容審査
- 差し戻し・補正依頼があれば即日対応
- 改善報告・追加資料を用意して柔軟に対応
関連:差し戻し対応マニュアル
差し戻しを防ぐためのスケジュール管理の工夫
- 社内スケジュール表を作成
期限・担当者・確認者を一覧化し、進捗を見える化。 - 内部監査を定期化
月次で契約・台帳・勤怠をサンプル監査し、更新前に修正余地をなくす。 - 証拠資料の即時保存
教育訓練記録・会議議事録・監査記録はすぐ保存し、更新時に一括提出できる体制を作る。
まとめ:逆算管理が不許可リスクを下げる
派遣事業更新は「資産」「責任者」「帳簿」「体制」のすべてを審査されます。
直前の付け焼き刃では間に合わず、6か月前からの逆算管理こそが更新成功の鍵です。
- 6か月前:資産・責任者・帳簿を総点検
- 4か月前:整備と内部監査
- 3か月前:改善と証拠化
- 2か月前:事前相談と不足書類準備
- 1か月前:最終点検と控え保存
- 提出〜審査:差し戻し対応
計画的な逆算管理で、更新不許可リスクを最小限に抑えましょう。