【ステップバイステップ】職業紹介事業の許可取得プロセス解説
有料職業紹介事業とは?
有料職業紹介事業とは、求職者と求人企業を仲介し、雇用契約の成立をサポートする事業です。
一般的に「人材紹介会社」と呼ばれる形態で行われ、転職エージェントや人材バンクなどもこれに含まれます。
この事業を行うには、厚生労働大臣の有料職業紹介事業の許可を受ける必要があります。許可を得ずに行った場合は無許可営業として罰則の対象となるため、必ず正式な申請が求められます。
職業紹介と派遣事業の違い
しばしば混同されやすいのが「職業紹介」と「労働者派遣」です。
- 職業紹介事業:求職者と求人企業を結びつけ、雇用契約は求職者と企業の間で直接締結される
- 派遣事業:派遣会社と労働者が雇用契約を結び、派遣先企業は労働力を利用するだけ
このように雇用契約の主体が異なるため、必要な許可や要件も変わってきます。
派遣事業について詳しくは派遣事業ライセンスをご覧ください。
有料職業紹介事業の許可要件
この事業を始めるには、次のような要件を満たす必要があります。
- 資産要件:基準資産額500万円以上、負債超過でないこと → 詳しくは資産要件の解説
- 事務所要件:独立区画・プライバシーが守られる面談スペースを確保
- 体制要件:職業紹介責任者の配置(講習修了が必要)
- 法令遵守:過去の法令違反がないこと
派遣事業よりも資産要件は緩やかですが、責任者の配置や事務所基準は同様に重視されます。
申請の流れ
有料職業紹介事業の許可申請は次の手順で進めます。
- 資産・体制・事務所の要件確認
- 職業紹介責任者講習を受講
- 必要書類を準備(定款、登記事項証明書、決算書など)
- 労働局で事前相談(推奨)
- 労働局に許可申請を提出
- 審査(約1~2か月)
- 許可証の交付
提出先は本店所在地を管轄する労働局です。
許可取得にかかる費用
有料職業紹介事業の許可申請には登録免許税9万円が必要です。
加えて、事務所整備や職業紹介責任者講習受講(1人あたり約1万円前後)、専門家依頼費用なども発生します。
費用の詳細は派遣事業・職業紹介ライセンスのコストも参考にしてください。
更新の必要性
有料職業紹介事業の許可有効期間は5年間です。
継続して事業を行うには、期限前に更新申請を行う必要があります。
更新でも資産要件や体制整備、帳簿管理が審査されるため、日常的な管理体制が重要です。
詳しくは更新申請の注意点を参照してください。
必要な書類
許可申請時には、以下の書類が代表的に必要です。
- 有料職業紹介事業許可申請書
- 定款・登記事項証明書
- 決算書(貸借対照表・損益計算書)
- 資産要件を満たす証明書類(残高証明書など)
- 事務所の図面・賃貸借契約書
- 職業紹介責任者講習修了証
- 役員の履歴書・誓約書
不備があると受理されないため、事前相談を経て提出するのが安心です。
よくある不備
労働局でよく指摘されるのは以下の点です。
- 資産要件を満たしていない
- 事務所が独立区画でない、面談室がない
- 責任者講習修了証が不足
- 決算書と申請書の記載が不一致
不備は改善すれば許可が下りる場合もありますが、時間がかかるため早めの準備が大切です。
職業紹介事業を始めるメリット
有料職業紹介事業の許可を取得すると、次のようなメリットがあります。
- 正式に人材紹介サービスを行える
- 求職者・企業双方からの信頼を得られる
- 転職市場で幅広い事業展開が可能になる
- 厚生労働省の許可番号を明示できる
人材ビジネスを始める上で不可欠な基盤となります。
よくある質問(FAQ)
- Q. 許可を取るまでにどのくらいかかりますか?
- A. 通常は申請から1〜2か月程度ですが、不備があるとさらに時間がかかります。
- Q. 赤字決算でも申請できますか?
- A. 自己資本が基準を満たしていれば可能です。資産要件不足の場合は増資等で改善が必要です。
- Q. 費用は派遣事業より安いですか?
- A. はい。登録免許税は9万円で派遣事業の15万円より低額です。資産要件も派遣より緩やかです。
関連ページ
職業紹介事業許可の理解を深めるには以下の記事も役立ちます。
まとめ:人材紹介ビジネスには必須の許可
有料職業紹介事業は、人と企業をつなぐ社会的に重要な役割を担うビジネスです。
そのためには厚生労働大臣の許可が不可欠であり、資産・事務所・体制の要件を満たす必要があります。
派遣事業よりも要件は緩やかですが、更新や帳簿管理を怠るとリスクもあります。
早めの準備と正しい理解で、安心して事業をスタートさせましょう。