「有料職業紹介事業の許可申請マニュアル」と題されたインフォグラフィック。申請に悩む男性、専門家のサポート(Step2)、許可証を受け取り喜ぶ男性(Step3)の3コマで申請プロセスを視覚的に解説。下部にはStep 1 必須要件、Step 2 資産要求、Step 3 コストと見直流程の3つのステップが表示されている。

「有料職業紹介事業を始めたいが、許可申請の手続きがよくわからない」「どんな書類が必要で、費用はいくらかかるのか知りたい」——そんな方のために、申請に必要なすべてを1記事にまとめました。


有料職業紹介事業の許可が必要な理由

有料職業紹介事業とは、報酬を得て、求職者と求人企業のマッチングを行うサービスです。転職エージェント・人材紹介会社がこれにあたります。

職業安定法第30条により、有料で職業紹介を行うには厚生労働大臣の許可が必要です。無許可での営業は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。

許可番号の意義

許可を取得すると「○○-ユ-○○○○○○」形式の許可番号が交付されます。この番号は求職者・求人企業からの信頼証明であり、転職サイト等に掲載する際も必須とされています。


許可申請に必要な書類チェックリスト

法人の場合

カテゴリ 書類 備考
申請書 有料職業紹介事業許可申請書(様式第1号) 厚生労働省所定様式
事業計画書(様式第2号) 1年間の事業計画
法人確認 定款の写し 事業目的に「職業紹介事業」の記載が必要
登記事項証明書 発行から3か月以内のもの
財務 貸借対照表・損益計算書 直近2期分(設立1年未満は1期分)
法人税の直近確定申告書の写し 税務署受付印または電子申告の印字があるもの
預金残高証明書 申請日から30日以内に発行のもの
人員 職業紹介責任者の住民票(本籍記載)  
職業紹介責任者の履歴書  
職業紹介責任者講習修了証の写し 過去3年以内に受講したもの
施設 事業所の平面図(寸法入り)  
事業所内外の写真  
賃貸借契約書の写し(賃貸の場合)  
登録免許税 登録免許税の領収書またはその写し 90,000円

個人事業主の場合

法人書類の代わりに以下が必要です。

  • 住民票(本籍記載)
  • 資産状況がわかる書類(確定申告書・預金残高証明書等)

申請手続きの進め方

STEP1:要件確認(申請の約3〜4か月前)

まず有料職業紹介事業の3つの許可要件を満たしているか確認します。

財産的要件(最重要)

  • 基準資産額:500万円 × 事業所数以上
  • 現金・預金:150万円 × 事業所数以上

要件未達の場合は増資や借入返済の検討が必要です。決算期をまたぐ場合、次の確定決算を待つか、中間財務諸表の準備が必要になります。

人員要件

  • 事業所ごとに「職業紹介責任者」を1名以上選任
  • 選任する人物が「職業紹介責任者講習」を過去3年以内に受講済みであること

講習の開催頻度は月1〜2回程度です。早めに受講予約を入れてください。

施設要件

  • 求職者と面談できる個室または区画されたスペースがあること
  • 他社との共有スペースは認められない(コワーキングは要確認)

STEP2:書類準備(申請の約2か月前)

定款の確認が最初のポイントです。定款の事業目的に「職業紹介事業」または「有料職業紹介事業」の記載がない場合は定款変更が必要です。定款変更には株主総会の決議と法務局への登記申請が必要なため、通常1〜2か月かかります。

預金残高証明書は申請日から30日以内のものを使用します。書類がすべて揃ったタイミングで取得すると、有効期間内に申請しやすくなります。


STEP3:都道府県労働局へ申請

書類が揃ったら、事業所所在地を管轄する**都道府県労働局(需給調整事業部門)**に提出します。

提出前に確認すること

  • 申請書の押印漏れがないか
  • 財務書類に税務署受付印または電子申告の印字があるか
  • 定款の事業目的に「職業紹介事業」の記載があるか
  • 登記事項証明書・預金残高証明書が有効期間内か

窓口に持参するのが基本ですが、事前予約制の労働局もあるため事前に確認してください。


STEP4:補正対応〜許可証の交付

申請受理後、労働局から書類の補正(修正・追加)が求められることがあります。補正依頼には速やかに対応することが許可取得を早める最重要ポイントです。

標準処理期間は受理から30〜60日。実務では補正が生じるケースが多く、申請から許可証受領まで2〜3か月かかることが一般的です。


審査で落ちやすいポイントと対策

①財産的要件の不足

最も多い不許可・補正の原因です。「基準資産額」は資本金ではなく純資産(資産総額-負債総額)で計算することに注意してください。債務超過の法人や創業直後で内部留保がない法人は要件を満たさないケースがあります。

対策: 申請前に必ず決算書で純資産額を計算する。不足する場合は増資を検討。

②定款の事業目的未記載

意外と見落とされがちです。設立時の定款に「職業紹介事業」を入れていなかった場合、変更登記が必要になり許可取得が遅れます。

対策: 書類準備の最初に定款を確認する。

③職業紹介責任者講習の有効期限切れ

講習の有効期間は3年です。3年以上前に受講した場合は再受講が必要です。

対策: 受講日を確認し、有効期間内であることを確かめてから申請書を作成する。

④施設要件の不備

コワーキングスペースや他社との共用オフィスでの申請は審査で引っかかるケースがあります。

対策: 申請前に管轄の労働局に施設要件を個別確認する(電話でも可)。


許可申請にかかる費用

費目 金額 備考
登録免許税 90,000円 許可証交付前に納付
許可手数料 18,000円〜 事業所1か所あたり18,000円
職業紹介責任者講習 10,000円前後 受講機関による
専門家報酬(任意) 10〜30万円程度 行政書士・社会保険労務士への依頼費用

新規許可の場合、法定費用だけで最低108,000円(登録免許税90,000円+手数料18,000円)が必要です。


許可後に必要なこと

毎年の事業報告書提出

有料職業紹介事業者は、毎年4月30日までに事業報告書を提出する義務があります。前年度の紹介実績(紹介件数・就職件数・手数料収入等)を管轄の労働局に報告します。

許可の有効期間と更新

区分 有効期間
新規許可 3年
更新後 5年

更新申請は有効期間満了の3か月前までに行う必要があります。更新時にも財産的要件・人員要件・施設要件をすべて満たしている必要があります。

更新時のAUP証明書

許可更新の際、労働局から公認会計士または監査法人による「合意された手続(AUP)」の証明書の提出を求められるケースが増えています。AUP証明書は財務諸表の適正性を証明するもので、更新申請の直前に取得する必要があります。

→ 「有料職業紹介事業の許可更新に必要なAUP証明書とは」では、AUP証明書の取得方法・費用・スケジュールを詳しく解説しています。


よくある質問(FAQ)

会社設立と有料職業紹介の許可申請は同時にできますか?

原則として、法人格が存在しなければ許可申請できません。まず会社設立を完了し、定款・登記事項証明書が取得できた後に申請します。ただし、設立直後は決算書がないため「開始貸借対照表」での申請になります。設立直後の申請では財産的要件の確認方法が通常と異なります。管轄の労働局に事前相談することをおすすめします。

許可申請中に職業紹介の営業活動はできますか?

許可証の交付を受けるまでは職業紹介事業を行うことはできません。マーケティング準備や顧客開拓のための打ち合わせ(業務委託契約の締結を除く)は申請中でも行えますが、報酬を受け取って求職者を紹介する行為は許可証取得後に限られます。

許可証はいつ届きますか?

許可が下りると、管轄の都道府県労働局から連絡があり、窓口での許可証受領または郵送対応になります。標準処理期間は申請受理から30〜60日ですが、書類補正が生じた場合や繁忙期は2〜3か月かかることがあります。

許可を取り消された場合、再申請はできますか?

取消しの日から5年間は許可申請ができません。また、取消しを受けた法人の役員だった場合、退任後5年間は職業紹介責任者になれない欠格要件があります。

紹介手数料の上限はありますか?

原則として、受理する手数料は「受け付けた求職者のうち就職した者の賃金の10.5%に相当する額の12か月分」を上限とする届出制です。ただし「上限制手数料」を採用する場合はこの上限が適用され、「届出制手数料」を採用する場合は届け出た金額が適用されます。

許可申請のご相談は江口晋平公認会計士事務所へ

有料職業紹介事業の許可更新では、公認会計士による合意された手続(AUP)の証明書が必要なケースがあります。当事務所では、AUP証明書の発行から許可更新の財務確認まで対応しています。

新規許可申請の段階からご相談いただくことで、更新時に慌てない財務管理の体制づくりもサポートします。

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