派遣業許可更新に資産要件を満たさない?成功のポイントを公開
派遣事業の資産要件を満たせない場合とは?
労働者派遣事業の許可や更新では、厚生労働省が定める資産要件を満たしているかが必ず審査されます。
代表的な基準は以下の通りです。
- 基準資産額 2,000万円以上
- 負債超過でないこと(自己資本がマイナスでないこと)
- 現預金額1,500万円以上(常時雇用10名未満の場合)
しかし、決算の結果これらを満たせない場合もあり、そのままでは許可が下りない・更新できないリスクがあります。
資産要件を満たせない場合のリスク
資産要件をクリアできないと、労働局は「安定的に派遣事業を継続できない」と判断します。
その結果、
- 新規許可が認められない
- 更新が不許可となり事業継続ができなくなる
- 改善命令や業務停止命令につながる
など、事業存続に直結するリスクがあります。
改善方法① 増資による自己資本の強化
最も代表的な改善方法が増資です。
- 資本金を増加させて自己資本をプラスにする
- 親会社や出資者からの支援を受ける
- 将来の利益繰り入れで資本剰余金を増やす
増資は確実な方法ですが、登記費用や時間がかかるため、早めの判断が必要です。
改善方法② 借入による現金の確保
金融機関からの借入によって現預金を確保する方法もあります。
- 短期借入でも残高証明で要件を満たせる場合がある
- 返済能力や事業計画が審査されるため事前準備が必要
- 金利や保証料など追加コストが発生する
借入は迅速に対応できる一方で、財務健全性に注意が必要です。
改善方法③ 決算修正・会計処理の見直し
会計上の処理を見直すことで、基準を満たすケースもあります。
- 貸倒引当金などの過大計上を適正化する
- 資産の再評価や棚卸資産の見直し
- 監査法人・会計士のアドバイスを受ける
この場合は専門家による確認が不可欠です。AUP(合意された手続)を活用して限定的な確認を受ける方法も有効です。
改善方法④ 一時的資産要件の利用
新規申請や更新時に一時的に資産要件を満たす方法として、一時的資産要件が認められています。
- 短期的に増資や借入を行い、申請時に要件を満たす
- その後の決算で維持できるよう改善を進める
- 一時的な対応だけでは将来の更新で再び問題になるリスクもある
抜本的な解決と並行して活用することが望ましいです。
更新時に特に注意すべき点
更新申請では直近決算書が提出必須です。
- 赤字決算でも自己資本が基準を上回っていれば更新可能
- 一時的な資産不足は改善計画を添付することで認められる場合がある
- 帳簿不備や数字の不整合は大きな減点要因になる
事前に専門家と決算数値を精査し、半年以上前から準備を始めるのが安全です。
資産要件不足を補う実務の工夫
- 資産管理表を作成し、毎月の推移をチェック
- 派遣元責任者と経理部門が連携して対応
- 早めに労働局へ相談し、改善計画を提示する
- 更新費用と合わせて資金計画を立てる
資産要件を満たせないからといって即アウトではなく、改善余地を示すことが大切です。
よくある質問(FAQ)
- Q. 赤字決算でも更新できますか?
- A. はい。自己資本が基準以上あれば更新可能です。一時的赤字は改善計画を提出することで認められる場合もあります。
- Q. 借入で一時的に資産を増やしても大丈夫ですか?
- A. 申請時に要件を満たせば可能ですが、返済計画や事業継続性も確認されます。
- Q. 一時的資産要件とは何ですか?
- A. 申請時に短期的に資産を充足させる仕組みです。抜本的改善と併用する必要があります。
関連ページ
資産要件に関する詳細は以下のページも参考にしてください。
まとめ:資産要件不足は改善で克服可能
派遣事業の資産要件を満たせない場合でも、増資・借入・会計修正・一時的要件の活用など改善策は存在します。
直前対応では間に合わないことが多いため、半年前から決算状況を確認し、必要なら専門家や労働局に相談することが重要です。
資産要件不足は事業存続の大きなリスクですが、計画的に改善すれば更新や新規許可をクリアできる可能性があります。