有料職業紹介事業の許可申請マニュアル。申請プロセスに悩む男性、専門家のサポート、許可証を受け取り喜ぶ男性の3コマで申請の流れを視覚的に解説。下部にはStep 1 必須要件、Step 2 資産要求、Step 3 コストと見直流程の3つのステップが表示されている。

有料職業紹介事業を始めるには、厚生労働大臣の許可が必要です。無許可で事業を行った場合は職業安定法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

許可を取得するためには「財産的要件」「人員要件」「施設要件」の3つの要件をすべて満たさなければなりません。本記事では、それぞれの要件の具体的な基準と、申請から許可証の取得までの流れを解説します。

有料職業紹介事業の許可を取得するための3つの要件

①財産的要件(基準資産額・現金預金)

財産的要件は、事業を健全に運営できる財務基盤があることを証明するための要件です。

基準資産額

貸借対照表上の「資産の総額」から「負債の総額」を差し引いた額(純資産)が、500万円×事業所数以上必要です。

  • 事業所が1か所:500万円以上
  • 事業所が2か所:1,000万円以上

現金・預金の要件

150万円×事業所数以上の現金または預金が必要です。ここでいう「現金・預金」は、申請時点で実際に保有している現金・普通預金・定期預金が対象です。

よくある落とし穴

基準資産額の計算に使用する貸借対照照表は、申請直前の「確定決算書」が基本です。決算から時間が経過している場合は、中間財務諸表や資産に関する確認書類の提出を求められることがあります。


②人員要件(職業紹介責任者の資格と研修)

有料職業紹介事業を行う事業所ごとに、「職業紹介責任者」を1名以上選任する必要があります。

職業紹介責任者の選任要件

以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 成年に達した者(20歳以上)
  • 精神の機能の障害等により職業紹介責任者の業務を適正に行うことができない者でないこと
  • 職業安定法および関係法令に違反していないこと
  • 過去3年以内に「職業紹介責任者講習」を受講していること

職業紹介責任者講習について

講習は厚生労働大臣が指定した機関が実施しており、受講料は1万円前後が一般的です。申請前に受講が必要なため、スケジュールに余裕を持って予約してください。講習の有効期間は3年で、許可の更新時にも再受講が必要です。

兼務について

派遣業の許可を持っている場合、派遣元責任者と職業紹介責任者を同一人物が兼務することが可能です。


③施設要件(事務所の独立性・プライバシー確保)

有料職業紹介事業の事業所は、求職者のプライバシーを保護するための環境が整っていることが必要です。

主な施設要件

  • 求職者と面談できる個室またはパーティション等で区切られたスペースがあること
  • 他の事業と明確に区別された専用スペースがあること(自宅の一室を事業所とする場合は生活空間と明確に区分されていること)
  • 他社との事務所の共有は原則として認められていない

注意点

コワーキングスペースやレンタルオフィスを事業所とする場合、「固定された区画を独占して使用する」契約でなければ認められないケースがあります。事前に管轄の都道府県労働局に確認することをおすすめします。


許可申請の流れと必要書類一覧

STEP1:事前準備(資産確認・責任者選定)

まず自社が財産的要件を満たしているかを確認します。直近の決算書をもとに基準資産額と現金・預金額を計算してください。要件を満たしていない場合は、増資や借入の返済などの対策が必要です。

あわせて、職業紹介責任者となる人物を選定し、講習の受講予約を行います。

3つの要件を確認できたら、次は書類準備です。有料職業紹介事業の許可申請に必要な書類・費用・審査のポイントは許可申請マニュアルで詳しく解説しています。


STEP2:申請書類の作成

主な提出書類は以下のとおりです。

法人の場合

書類 備考
有料職業紹介事業許可申請書 厚生労働省所定の様式
事業計画書(様式第2号)  
定款の写し 事業目的に「職業紹介事業」が含まれているか確認
登記事項証明書 発行から3か月以内
貸借対照表・損益計算書 直近の確定決算のもの
職業紹介責任者の住民票 本籍記載のもの
職業紹介責任者講習修了証の写し  
事業所の図面・写真 施設要件を証明するため
賃貸借契約書の写し(賃貸の場合)  

定款の「事業目的」について

法人申請の場合、定款の事業目的に「有料職業紹介事業」または「職業紹介事業」が含まれていなければなりません。含まれていない場合は、定款変更が必要です。定款変更には株主総会の決議と登記申請が必要なため、時間がかかります。早めに確認してください。


STEP3:都道府県労働局へ提出

申請書類を揃えたら、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。窓口への持参が基本ですが、郵送対応可能な労働局もあります。事前に管轄の労働局に確認してください。

申請の受付後、書類の補正(修正依頼)が入る場合があります。補正対応が早いほど許可取得も早まります。


STEP4:審査〜許可証の交付

標準処理期間は申請受理から約30日〜60日です(書類に不備がなく補正が不要な場合)。実務上は申請から許可証受領まで2〜3か月かかることが多いため、事業開始予定日から逆算して早めに申請することをおすすめします。

許可証の交付を受けた後、初めて有料職業紹介事業を開始できます。


申請にかかる費用の目安

登録免許税

新規許可申請の際には登録免許税90,000円が必要です。許可証の交付前に納付します。

許可手数料

事業所数許可手数料
1か所18,000円
2か所目以降1か所ごとに18,000円を加算

専門家への依頼費用

行政書士・社会保険労務士に申請を依頼する場合の報酬相場は、10〜30万円程度(書類作成・申請代行込み)が一般的です。


許可取得後の義務

毎年の事業報告

有料職業紹介事業者は、毎年4月30日までに「事業報告書」を管轄の都道府県労働局に提出する義務があります。前年度の紹介実績(求職者数・就職件数・手数料収入など)を報告します。

許可の有効期間と更新

新規許可の有効期間は3年、更新後の有効期間は5年です。許可の更新申請は、有効期間満了の3か月前までに行う必要があります。

更新の際にも、財産的要件・人員要件・施設要件をすべて満たしている必要があります。更新時の財産的要件の証明には、公認会計士または監査法人による合意された手続(AUP)の証明書の提出を求められるケースがあります。

→ AUP証明書について詳しくは「有料職業紹介事業の許可更新に必要なAUP証明書とは」をご覧ください。


よくある質問(FAQ)

資本金が500万円未満でも有料職業紹介事業の許可を取得できますか?

財産的要件は「基準資産額500万円以上」であり、「資本金500万円以上」ではありません。資本金が500万円未満でも、内部留保等により純資産が500万円以上あれば要件を満たします。ただし設立直後の法人は純資産が資本金とほぼ等しいため、資本金500万円以上で設立するケースが多いです。

申請から許可まで何か月かかりますか?

書類の不備がない場合、申請受理から許可証交付まで標準処理期間は約30〜60日です。書類の補正が生じた場合や、申請件数が多い時期は2〜3か月かかることもあります。

派遣業許可と有料職業紹介事業の許可を同時に申請できますか?

同時に申請することは可能です。ただし、それぞれの許可に必要な要件(財産的要件・責任者・施設)を独立して満たす必要があります。なお、労働者派遣事業の財産的要件(基準資産2,000万円×事業所数、現金1,500万円×事業所数)の方が有料職業紹介よりも厳しいため、派遣業の要件を満たせば職業紹介の財産的要件も自動的に満たします。

有料職業紹介事業で紹介できない職種はありますか?

職業安定法により、「港湾運送業務」「建設業務」「警備業務」の3業種への職業紹介は有料・無料を問わず禁止されています。

まずはお気軽にご相談ください

有料職業紹介事業の許可申請・許可更新のご相談は、江口晋平公認会計士事務所へ。合意された手続(AUP)による財務確認証明の発行から申請サポートまで、ワンストップで対応いたします。

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