派遣事業更新に必要な労務管理体制ガイド|勤怠管理・労働時間・休暇管理の実務ポイント
派遣事業の更新審査において、資産要件や責任者体制と並び、労務管理体制は必ず確認される重要項目です。
勤怠記録がずさんであったり、労働時間や休暇管理が不適切であったりすると、労働者派遣法や労働基準法違反と判断され、更新不許可や是正勧告につながるリスクがあります。
本記事では、派遣事業更新に必要な労務管理体制を整備するための具体的な実務ポイントを、勤怠管理・労働時間管理・休暇管理の3つの観点から詳しく解説します。
労務管理体制が更新で問われる理由
派遣労働者は雇用契約上、派遣元事業者の管理下にあります。そのため、労務管理は派遣元に大きな責任が課されています。
労務管理体制が不十分だと、以下のリスクがあります。
- 違法な長時間労働の発生
- 有給休暇未付与や取得抑制
- 勤怠記録の不備による労働時間不明確化
これらは派遣労働者の権利侵害に直結し、更新不許可の典型的事例です。
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勤怠管理の実務ポイント
出勤簿・タイムカードの整備
- 紙の出勤簿、タイムカード、ICカード打刻など、客観的な記録を残すことが必要です。
- 自己申告制のみでは不十分であり、二重チェックが求められます。
在宅勤務やシフト勤務者への対応
- テレワーク用の勤怠システムを導入する
- シフト表と実働時間を突合して不正や誤記録を防ぐ
不正打刻防止
- 打刻システムの本人認証機能を活用
- 管理者が定期的にチェックし、異常値を確認
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労働時間管理の適正化
36協定の順守
- 時間外労働・休日労働は必ず36協定に基づいて運用
- 協定内容を労働者に周知し、遵守状況を定期確認
長時間労働の防止
- 月45時間、年360時間の上限を超えないよう管理
- 過労死ライン(80時間超)を防止する体制を構築
変形労働時間制・フレックスタイム制の活用
- 適用する場合は就業規則に明記
- 労働時間の平均計算が正しく行われているか確認
休暇管理の徹底
年次有給休暇
- 付与日数を正しく計算し、労働者ごとに管理簿を作成
- 取得状況を記録し、年5日以上の取得義務を守る
特別休暇・法定外休暇
- 慶弔休暇や病気休暇などを規程に明記し、取得状況を把握
育児休業・介護休業
- 制度を周知し、申請手続きを整備
- 就業規則や社内規程を最新法令に沿って改訂
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更新審査での確認ポイント
労働局が労務管理体制で確認する代表的な項目は以下のとおりです。
- 出勤簿やタイムカードが整備されているか
- 残業時間が36協定の範囲内か
- 有休の付与・取得状況を記録しているか
- 育児・介護休業など法定休暇制度を周知しているか
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不許可リスク事例と回避策
不許可リスク事例
- 勤怠記録がなく、実労働時間が不明
- 36協定を超える残業を常態化させている
- 有休を付与していない、または取得させていない
回避策
- 勤怠システムを導入し、正確な記録を残す
- 36協定の上限を超えそうな場合、早期に労働時間調整を行う
- 有休管理簿を作成し、計画的付与を実施する
体制強化チェックリスト
- 出勤簿・タイムカードを整備しているか
- 36協定を遵守し、残業時間を管理しているか
- 有休の付与・取得状況を管理簿に記録しているか
- 育児・介護休業制度を周知しているか
- 労務管理体制を定期的に内部監査しているか
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労務管理体制を整えて安心の更新へ
派遣事業更新を確実に通過するためには、資産要件や責任者配置だけでなく、日常的な労務管理の適正性が不可欠です。
- 勤怠記録を正確に残す
- 労働時間を適正に管理する
- 休暇を適切に付与・取得させる
これらを徹底することで、更新審査において「適正運営」と評価され、安心して派遣事業を継続できます。