労働者派遣事業の許可要件とは?
労働者派遣事業を始めるには、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。
しかし、誰でも申請できるわけではなく、派遣業を行うための厳格な要件を満たすことが条件です。
この記事では「資産要件」「事務所要件」「体制要件」「法令遵守要件」という4つの柱に沿って、派遣業許可の要件を整理し、申請前に準備すべきポイントを解説します。
資産要件
派遣業許可の最大のハードルが資産要件です。
- 基準資産額2,000万円以上
- 現金・預金1,500万円以上
- 債務超過でないこと
単年度赤字でも自己資本が上記基準を満たしていれば許可は可能です。
不足している場合は、増資や借入で改善する必要があります。
詳しくは資産要件を満たせない場合の対応をご覧ください。
事務所要件
派遣事業を運営するオフィスも審査対象です。
- 独立した区画を持つこと(他社と区分されている)
- 派遣労働者と面談できるスペースを確保していること
- バーチャルオフィス・シェアオフィスは不可
レイアウト変更や移転を行う際は、必ず要件を満たしているかを確認してください。
体制要件
派遣業を適正に運営するために派遣元責任者を常勤で配置する必要があります。
- 派遣元責任者講習を修了していること
- 常勤で専任されていること
- 必要に応じて複数名を配置
責任者の退職や不在は更新時にも大きなリスクとなります。
関連ページ:派遣事業の更新ガイド
法令遵守要件
派遣事業者は労働者の雇用を預かる立場にあるため、法令順守も重要な要件です。
- 過去に重大な労働基準法・職業安定法違反がないこと
- 暴力団排除条例などに抵触していないこと
- 帳簿(派遣元管理台帳・派遣先管理台帳・契約書等)を適切に整備していること
帳簿整備については必要帳簿まとめも参考にしてください。
許可を取得するまでの流れ
派遣業許可の申請は以下のステップで進みます。
- 資産・事務所・責任者の準備
- 必要書類の作成(定款、登記事項証明書、決算書など)
- 労働局で事前相談
- 許可申請書を提出
- 審査(1〜2か月)
- 許可証の交付
申請先は所在地を管轄する労働局です。
よくある不備と改善策
派遣業許可申請で不許可になる典型的な例は以下です。
- 資産要件を満たさない → 増資や借入で改善
- 責任者が未配置 → 講習を早めに受講して専任
- 事務所が要件を欠く → 独立区画の確保、レイアウト改善
- 帳簿不備 → 専門家指導のもと整備
不備は直前では対応が困難なため、半年前からの準備が望ましいです。
関連ページ
派遣業許可の取得を検討する際には以下もご覧ください。
まとめ:要件を満たすことが派遣業成功の第一歩
派遣業許可を得るためには、資産・事務所・体制・法令遵守の4つの要件をクリアする必要があります。
これらを欠くと申請は不許可となり、事業計画に大きな支障をきたします。
要件を確認 → 不備を改善 → 余裕を持って申請 という流れを徹底することで、確実に派遣ライセンスを取得し、安定した事業運営を実現できます。