
労働者派遣事業の許可更新申請は、原則として「直近の事業年度終了時の財務諸表」に基づいて審査されます。
しかし、直近の決算が赤字だったり、基準資産額を満たしていなかったりする場合、そのまま申請すれば許可が下りない(あるいは条件付き許可となる)リスクが高まります。
前回は「増資」による解決策をお伝えしましたが、今回はもう一つの有効な手段である「決算期の変更(決算月の変更)」について解説します。
なぜ「決算期の変更」が有効なのか
許可更新の審査基準となるのは、あくまで「確定した直近の決算書」です。
もし、前回の決算が悪くても、「今の期(進行期)」が黒字で、資産要件を満たせる見込みがあるなら、決算期を今のタイミングに変更して無理やり決算を確定させてしまう、という方法があります。
本来1年後に行うはずの決算を前倒しで行い、新しい「直近の決算書(黒字・要件クリア)」を作って労働局に提出するのです。これにより、過去の悪い実績ではなく、回復した現在の実績で審査を受けることが可能になります。
この手法が有効なケース
決算期の変更は、すべての会社におすすめできるわけではありません。主に以下のような状況で極めて有効です。
- 直近決算は赤字だったが、ここ数ヶ月は利益が出ている
進行期だけで見れば黒字であり、その利益を積み上げれば資産要件をクリアできる場合。 - 更新期限までに次の本決算が間に合わない
次の通常決算を待っていると、許可の有効期限(申請期限)を過ぎてしまう場合。期間を短縮して決算を組むことで、期限内に新しい実績を作れます。
決算期変更のメリット・デメリット
この手法は強力ですが、事務的な負担も伴います。実施前に以下の点を考慮してください。
メリット
- 合法的に「最新の実績」で勝負できる 過去の悪い数字をリセットし、現在の好調な数字で審査を受けられます。
- 増資資金を用意しなくて済む場合がある 利益の積み上げだけで要件を満たせるなら、社長個人の資金(増資)を投入する必要がありません。
デメリット
- 税務申告・納税のタイミングが早まる 決算を前倒しするため、法人税や消費税の納付期限も早まります。キャッシュフローの管理が必要です。
- 手続きの手間とコスト 株主総会での定款変更決議、税務署への届出などが必要です。また、決算が1回増えるため、税理士報酬や、私たち公認会計士による監査費用もその分発生します。
監査証明との兼ね合い
決算期を変更して新しい決算書を作ったとしても、派遣業の更新申請には**公認会計士による「監査証明(合意された手続)」**が必須であることに変わりはありません。
「決算期を変えれば、監査なしで通る」わけではない点に注意してください。むしろ、不規則な決算期間(例:7ヶ月決算など)となるため、通常よりも丁寧に監査人へ事情を説明し、スケジュールを調整する必要があります。
迷ったらシミュレーションを
「増資をすべきか、決算期を変更すべきか」 「今の業績で、決算期を変えれば本当に要件を満たせるのか」
この判断を誤ると、手間だけかかって更新できないという最悪の事態になりかねません。
当事務所では、監査証明の発行はもちろん、資産要件をクリアするための最適なスキーム(増資か、決算変更か、仮決算か)のご相談も承っています。更新期限が迫っている場合でも、まずは一度お問い合わせください。
「ウチはAUPで安く済むの?それとも監査が必要?」と迷っている方へ
労働局への提出期限が迫っている場合、判断を誤ると更新できません。
公認会計士が「あなたの会社はAUPでOKか」を無料でお電話診断します。
📞 06-6330-6225(お急ぎの方はこちら)
受付時間 平日9時30分〜16時30分





