派遣事業許可の認可条件解明!必要書類と手続きのポイント
派遣事業の許可要件とは?
労働者派遣事業を始めるには、厚生労働大臣の許可を得る必要があります。
この「許可要件」を満たしていなければ、事業を開始することも更新することもできません。
特に派遣事業は、紹介事業と異なり資産要件・体制要件・事務所基準・専任の派遣元責任者が重視されるのが特徴です。
ここでは派遣事業者が必ず押さえておくべき許可要件をわかりやすく解説します。
1. 資産要件
派遣事業の許可を得るためには、一定の財務基盤が必要です。
代表的な基準は以下のとおりです。
- 基準資産額:2,000万円以上(うち現金・預金は1,500万円以上が望ましい)
- 自己資本比率:マイナスでないこと(債務超過は不可)
自己資本や基準資産額は、直近決算書から算定されます。詳しい計算方法は標準資産額の計算ページで解説しています。
もし赤字で要件を満たせない場合も、一時的資産要件や増資・借入による改善計画でカバーできることがあります。
2. 体制要件
派遣労働者を安心して就業させるためには、適切な体制が整っている必要があります。代表的な要件は以下の通りです。
- 派遣元責任者の選任:厚労省が定める派遣元責任者講習を受講した者を専任で配置すること。
- 労務管理体制:就業規則の整備、労働契約書・派遣契約書の管理体制。
- 個人情報保護:派遣労働者の個人情報を適切に管理できる体制を整える。
- 教育訓練計画:派遣労働者のキャリアアップ支援として研修を実施できる体制。
これらの体制は「書面上の規程がある」だけでは不十分で、実態が伴っているかが審査されます。
3. 事務所要件
派遣事業を行うには、事務所にも一定の基準があります。
- 独立した事務所:他社と区画を明確に区切られたスペースであること。
- 面積基準:おおむね20平方メートル以上が必要。
- プライバシー保護:面談スペースが確保されていること。
- 所在地:レンタルオフィスやバーチャルオフィスでは不可。
事務所写真や間取り図を提出する必要があり、不備があると申請が通りません。
4. 専任の派遣元責任者
派遣事業を行うには、必ず「派遣元責任者」を専任で置かなければなりません。
- 派遣元責任者講習を修了していること。
- 他の事業と兼任していないこと。
- 実際に業務を管理できる立場であること。
責任者が不在、または兼任で形だけの場合は更新できません。責任者が辞めてしまった場合は速やかに新任者を立てる必要があります。
許可更新時に注意すべきポイント
派遣事業の更新では、新規許可と同じ要件が再度確認されます。特に注意すべきは以下の点です。
- 資産要件:赤字決算で資産を割り込んでいないか。
- 体制:派遣元責任者が継続して専任で配置されているか。
- 法令遵守:労働基準法違反や行政処分がないか。
改善計画を示すために、AUP(合意された手続)を活用することも可能です。財務の一部を限定的に第三者検証し、申請書に添付することで信頼性を高められます。
よくある質問(FAQ)
- Q. 赤字決算でも派遣事業の更新はできますか?
- A. 自己資本が基準を上回っていれば可能です。一時的な赤字なら改善計画を添えて申請することで認められる場合があります。
- Q. 事務所を移転した場合はどうなりますか?
- A. 新しい事務所が基準を満たしているか確認されます。区画や面積、面談スペースの要件をクリアしている必要があります。
- Q. 派遣元責任者が辞めてしまったら?
- A. 専任者が不在では事業を継続できません。速やかに講習修了者を新任し、届け出を行う必要があります。
関連ページもあわせて確認
派遣事業の許可要件は紹介事業と似ている部分もありますが、資産要件や事務所基準など独自の要素も多いです。
以下のページもあわせて確認することで、全体像をつかめます。
まとめ:派遣事業の許可要件を満たす準備を早めに
派遣事業の許可要件は、資産・体制・事務所・責任者の4つが柱です。
特に資産要件は時間をかけて準備する必要があり、直前対応では間に合いません。
半年前から決算状況を確認し、不安があれば増資や借入で改善を進めましょう。
また、体制や責任者、事務所基準も抜け漏れなく整備することが更新成功のカギです。
必要に応じてAUPを活用し、申請書類に信頼性を加えるのも有効です。派遣事業を安定して継続するために、早めの準備を心がけましょう。