無料職業紹介事業とは?
無料職業紹介事業とは、求職者と求人企業のマッチングを無償で行うサービスのことです。
大学や専門学校、地方自治体、ハローワーク以外の公共団体などが行うケースが多く、利用者からの手数料を受け取らずに紹介業務を行います。
ただし「無料」であっても、職業紹介を行うには厚生労働大臣の許可が必要です。
有料職業紹介との違い
有料職業紹介事業との違いは「利用者から手数料を受け取るかどうか」です。
- 有料職業紹介:求職者や求人企業から紹介手数料を受け取る事業
- 無料職業紹介:利用者から手数料を受け取らずに紹介を行う事業
それ以外の手続きや許可要件は基本的に大きな違いはありません。
制度設計の背景は「無料だから安全」というわけではなく、事業を適正に行うため許可制となっています。
無料職業紹介事業の許可要件
無料職業紹介事業の許可要件は、有料と同様に定められています。
- 資産要件: 有料ほど厳格ではありませんが、安定的な運営能力を示す必要があります。
- 事務所要件: 独立した区画を有し、プライバシーを守れる面談スペースが必要です。
- 体制要件: 職業紹介責任者を置き、厚労省指定の講習を修了していること。
- 法令遵守: 過去に重大な処分歴がないこと。
「無料だから簡単にできる」という誤解を避けましょう。
許可申請の流れ
無料職業紹介事業の許可申請も有料とほぼ同じ流れです。
- 事業計画の作成
- 職業紹介責任者講習の受講
- 必要書類を準備(定款、登記事項証明書、事務所図面など)
- 労働局で事前相談
- 許可申請書の提出
- 審査(1〜2か月程度)
- 許可証の交付
相談・申請の窓口は管轄労働局です。
必要書類
無料職業紹介事業の申請に必要な代表的書類は以下の通りです。
- 無料職業紹介事業許可申請書
- 登記事項証明書・定款
- 事務所図面・賃貸契約書
- 職業紹介責任者講習修了証
- 役員の履歴書・誓約書
財務書類が簡略化されるケースもありますが、基本は有料と同様です。
費用はかかる?
「無料職業紹介だから費用も無料」とは限りません。
- 登録免許税: 無料職業紹介の場合は免除されます。
- 職業紹介責任者講習費用: 約1万円
- 事務所整備費(区画設置や家具など)
- 専門家依頼費用(行政書士など、任意)
登録免許税がかからない分、有料より安く始めやすいのが特徴です。
更新について
無料職業紹介事業の許可も有効期間は5年間です。
継続する場合は、期限前に更新申請が必要です。
更新時には、帳簿管理や責任者体制などが再度確認されます。
よくある不備
無料職業紹介事業の申請でよくある不備は以下です。
- 責任者講習修了証が未提出
- 事務所の独立性が不十分
- 事業計画が曖昧で不明確
- 法令遵守体制の不足
無料だからといって基準が甘いわけではありません。不備を避けるには十分な準備が必要です。
無料職業紹介事業を行うメリット
- 教育機関や自治体などで就職支援サービスを提供できる
- 求職者や地域社会からの信頼を得られる
- 登録免許税が不要で始めやすい
- 公共性の高い取り組みとして社会的意義がある
特に大学やNPO法人などが取り組むケースが増えています。
よくある質問(FAQ)
- Q. 無料職業紹介事業は誰でもできますか?
- A. 許可を受ければ可能ですが、要件を満たす必要があります。個人でも法人でも申請は可能です。
- Q. 登録免許税は本当に不要ですか?
- A. はい。無料職業紹介事業の場合、登録免許税は免除されます。
- Q. 有料職業紹介事業と切り替えできますか?
- A. 可能ですが、別途有料の許可申請が必要になります。
関連ページ
参考記事もあわせてご覧ください。
まとめ:無料でも許可は必須
無料職業紹介事業は、利用者から手数料を取らずに職業紹介を行う仕組みです。
「無料だから許可不要」と誤解されがちですが、厚生労働大臣の許可が必要です。
登録免許税が不要で始めやすい一方、要件や体制は有料とほぼ同じです。
社会的意義も大きいため、教育機関や地域団体などが導入するケースが増えています。